さっそくですが、アナログととデジタルの違いについて考えてみましょう。ここでは、データを通信(送信者と受信者の双方で情報のやりとりができる)することを考えていきます。その前に、アナログとデジタルの原義について触れましょう。アナログとは連続、デジタルとは断続という意味です。例えば、アナログ時計では、秒針をみていると次の目盛りに進む様子が見えます。逆にデジタル時計は、次の秒に進むときは、一瞬前の秒が消えて、次の秒が映ります。このように、アナログとは連続性のあるもの、デジタルは断続しているものということが根本にあることを抑えましょう。
アナログ通信と言えば、狼煙(のろし)です。
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狼煙というのは、煙を炊いて煙の色や、煙の長さなどで情報を伝えるものです。ここで、狼煙を上げる人を送信者とします。狼煙があがるのを待ちわびている人を受信者としましょう。狼煙を上げる前に、送信者と受信者の間で、狼煙の意味を共有しておく必要があります。例えば、受信者は、送信者に対して、「途中で風邪をひいたら赤色の狼煙をあげろ」「何も問題が無ければ青色の狼煙をあげろ」という取り決めをしたとします。送信者はこの取り決めに従って狼煙をあげます。この取り決めのことをプロトコルと言います。また、送信者が旅の途中で気が変わって、「水が足りないから黄色の狼煙をあげよう」と思ったところで、受信者はプロトコルに則していないので意味がわかりません。つまり、受信者は情報を受信できないに等しいのです。
このように、通信には受信者と送信者がいて、お互いが同じ取り決めを持っていないと通信が不可能だということを抑えましょう。
また、狼煙をあげるにしても、強風吹き荒れる中で狼煙を上げても色が薄くなったり、うまく垂直にあがらなかったりします。このように、意図したとおりの信号を送れないことはよくあることなのです。なので、通信のプロトコルでは、一般的に「微妙な判断になりそうなものは取り入れない」というのが鉄則です。「途中で風邪を引いたら、2秒間煙をあげる」「何も問題が無ければ、3秒間煙をあげる」といような、受信者が判断に困るような取り決めはあらかじめしないのが大事です。通信するには、常に意図しない情報が含まれることを意識しないといけません。この、意図しない情報のことをノイズと言います。通信ではノイズが発生するのが当たり前なのです。また、余分な情報が入るだけでは無く、情報が欠落することも考えておかなければなりません。
デジタル通信は、断続的なものですが、断続性を利用した通信となります。有名なものでモールス信号があります。
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モールス信号は ONとOFFと長さ(ONのときの長さが「長・短」があり、その区切りにOFFを用いる)で「文字」を表します。このようなデジタル通信のメリットは、ノイズの影響を受けにくいという点があります。ただ、逆に自分がノイズになりやすいうデメリットがあります。送信者はライトをもって、ON・OFFの情報を送信しますが、これは正確性が求められます。また、受信者もある程度正確に発信されていることを前提に情報を受け取りますので、ライトでのモールス信号で言えば、わりと強い光源が必要なわけです。
ですが、強い光源を用いることで他の作業に支障をきたすこともあります。例えば崖っぷちの船から「ばかばかばか・・・」と送信しよう1)として、モールス信号のため大量の電力を消費するとします。すると、崖乗り上げを回避しようとした船長の周りにあるレーダー機器や、なんやかんやの機材が使えなくなるわけです。
このようにデジタル通信はノイズの影響を受けにくいですが、自分がノイズ(他の相手に影響を与えるもの)になる可能性を考慮に入れないといけません。